本書はこの二〇年余りの間続けてきた中国農業史研究の成果をまとめたものである。かつての拙著『陳旉農書の研究』(農山漁村文化協会、一九九三年)および『唐宋変革期農業社会史研究』(汲古書院、一九九六年)をさらに深めようと試みてきた足跡である。
この研究課題に対する基本的な問題意識は依然として変わりはない。農産物の世界的な流通構造が浮き彫りにされ、食糧安全保障が焦眉の課題になっているいま、農業問題とくに農産物の需給関係が緊迫の度合いを高めており、国際的分業体制の再検討が必須の課題となっている。こうした情勢の下、歴史的な視角から農業生産をとらえる研究の役割も見直さねばならない段階に来ている。より具体的な課題でいえば、農業生産力の研究は歴史学研究の基礎であり、基層社会における小経営の発展を把握することが歴史社会を見渡すために必要な作業であるが、さらに持続的な再生産が可能な生業としての農業を位置づけなおす必要があろう。こうした課題意識から本書で新たに取り入れた論点は以下の四点であった。一、基礎的史料である農書の研究において、南北朝期から清末まで視野を広げ、代表的農書の性格を検討すること。二、それらの農書と関連する農業史上の問題を考察すること。とくに農業と流通の関係に注目し、農業自体の史的、質的変化を探ること。三、これまでの研究において位置づけが弱かった衣料生産の問題を視野に入れ、さしあたり絹織物生産の前提となる栽桑技術を追いかけること。四、これら食と衣の生産活動をふまえ、小経営の史的発展過程の展望を切り開くこと。以上である。这本书是作者在过去二十余年间持续进行的中国农业史研究成果的总结。这也是作者试图进一步深化其旧著《陈旉农书研究》(农山渔村文化协会,1993年)及《唐宋变革期农业社会史研究》(汲古书院,1996年)的探索轨迹。对于这一研究课题的基本问题意识依然没有改变。在全球农产品流通结构凸显、粮食安全保障为当下的紧迫课题,农业问题,特别是农产品的供需关系正日趋紧张,重新审视国际分工体制已成为必须解决的课题。在这种形势下,从历史视角把握农业生产的研究作用也进入了必须重新评估的阶段。就更为具体的课题而言,农业生产力的研究是历史学研究的基础,把握基层社会中小经营的发展是俯瞰历史社会的必要工作,此外,还有必要将农业重新定位为一种能够持续再生产的生计方式。基于上述问题意识,本书新引入的论点如下四点:第一,在基础史料——农书的研究中,将视野从南北朝时期扩展到清末,考察代表性农书的性质。第二,考察这些农书所关联的农业史上的问题,特别关注农业与流通的关系,探寻农业本身的历史性、质性变化。第三,将此前研究中定位较弱的衣料生产问题纳入视野,首先追踪作为绢织物生产前提的栽桑技术。第四,在上述粮食与衣物生产活动的基础上,开拓小经营历史发展过程的前景。(机翻)